即時裁判 (1)

即時裁判って便利ですよねー。

もともとこのシステムはNEU(北なんとか連合、だったと思うんですが、Eがなんだったか思い出せない…)の若い人が始めたプロジェクトで、そのときは当時の司法制度がカバーできない、小さくて「私的」な断罪の仕組みだったんですよね。「彼は冷凍庫のプリンを食べたに違いない」的な(笑)。そんなのどうでもいいじゃないですか。とはいえそういうのも積み重なっていくと後々問題になるわけで。そんなところに彼は目を付けたんですね。

そして、民事の少額の揉めあいについては、手間暇かかる裁判所を通じた訴訟ではなくて、即時裁判で済ませるようになってきて、既存の裁判所でも少額訴訟の数が減ってきました。それを受けて数年前にNEUの裁判所は少額訴訟の取扱を原則的に廃止して、即時裁判の結果を公的なものとして取り扱うと発表したのでした。コスト削減にもつながりますからね。

今日は、あまりよく知らない人のために(大人では少数派でしょうが、まだ端子を入れたばかりの人ですね)、もうちょっと詳しく即時裁判のフローというか、使い方をご説明しようと思います。この国でも、即時裁判の結果を公的に認証しよう・法的拘束力を与えようという動きが出てきていますので、知っておいて損はありません。

即時裁判を使ってみよう

まずは眼元のデバイスで即時裁判用のアプリを探してみましょう。新しいモノなら最初からプリインストールされていると思います。もしなければ適当に入手してきてください。とりあえず私が普段使っていて、一般的にもそれなりに人気のあるceckを使って解説します。

ceckにログインされていることを確認してから、ページをまさぐると「おすすめ弁護士団」というのが出てくると思います。とりあえず今回は私が動かしている弁護士団(ちくわ号って名前です、なんで「号」なんだよというツッコミは置いといて…)を選択してみてください。多分この話がストレージに上げられるときには「ちくわ号」へのリンクが生成されるので、それをたどってもらえば大丈夫です。

裁判といえば、原告と被告がいて、それぞれに弁護士がついて…というプロセスを想起するでしょうが、ここでの弁護士団もさほど変わりません。ただし、即時裁判は速さがウリで、どのようなタイミングで訴えられるかわかりませんから、裁判の前にあらかじめ弁護士団をつけておくことになっています。この弁護士団が普段から会話データ等を収集して、いざというときに守ってくれるわけです。

では「ちくわ号」がどのように守ってくれるか見てみましょう。「テスト訴訟」を選択してみてください。何か入力するように促されますね。ここに訴訟の対象となる事件を入れます。弁護士団はコンテキストを理解しているので、実際は最初から理由が入っていることがほとんどです。今回はテストなので、何か適当に入れておけば大丈夫です。

訴訟を開始すると、下から結果表示がスライドしてくると思います。「勝訴」「敗訴」「保留」のどれかが表示されると思います。さらに下にめくってみると、詳細な判決文が表示されます。判決文といっても普通の人が読める形ではありませんから、特に意味は理解しなくても大丈夫です(笑)。

とりあえずこのような感じでざっくりと流れがつかめたのではないでしょうか。実際にはレンズを装着した状態で相手を睨むと裁判申立となり、即時裁判を始められます。

即時裁判のしくみ

先に少しだけ書きましたが、普通の民事裁判とあまり変わりません。原告がいて、被告がいて、それぞれに弁護士団がついています。裁判官もシステム側から選ばれた裁判官団が担当することになります(希望があれば人も採用できますが、時間がかかるのでほぼ使われません)。一応普通の裁判と区別するために「団」がつけられているようです。これがむしろ混乱を招いているのではないか、と思わないでもありませんが…

一応裁判官団は、双方の弁護士団と利害関係がないものを探してきて選任する、という建前があります。ところが、被告の弁護士団と裁判官団に巧妙に隠されたつながりがあって、原告の弁護士団がそれを見破れず問題になったケースも過去にあります。こういった場合は一般の裁判のプロセスで即時裁判の結果を取り消す必要があります。

即時裁判を常用している身としては、公平さが担保されているようで非常にありがたいと感じます。あまり深く考えなくても、とりあえず結果を出してくれるし、非常に安価なので少額訴訟にはもってこいだと思います。

また、オフィスソフトのベンダーも企業向けの即時裁判プラットフォームを提供し始めているようです。いくら優秀な弁護士団でも、収集できないデータからは弁論が作れないので、企業内部の主に知財・会計関連の情報を別途アップロードできるようになっています。

紹介したceckにはライトな感じで比較的コスパの良い弁護士団が登録される傾向にありますが、対する古参のLawyerAIも根強い人気を誇ります(AIってもう死語感ありますね)。いろいろ使ってみて、ご自分に合ったアプリと弁護士団を探してみてください。